2025.06.13
- 医療,福祉
- IT導入補助金
生産性向上に取り組む企業事例( 社会福祉法人熊本菊寿会)
ITで介護の未来を創造する、健全な経営に向けたIT化への取り組み

この記事のポイント
- 事業展開と人手不足という課題への取り組み
- 利用者の増加とともに増える日常業務をIT化
- IT化により生まれた余力で、より健全な経営を目指す
2000年に保育事業からスタートした社会福祉法人熊本菊寿会。現在は介護事業を柱に地域に根差した福祉サービスを提供している。熊本市を中心に複数の拠点を展開し、「地域との共存」をコンセプトに “地域への貢献”や“関わる多くの人々の人生を共に創造すること”を事業活動の指針としている。
介護業界といえば、人手不足が深刻化している業界の一つであり、当法人も例外ではない。そのような社会情勢の中、当法人はタブレット端末を利用した業務日報作成や情報の一元管理、利用者への請求業務等を効率化することで経営改善・業務効率化でこの課題に立ち向かっている。


人手不足や賃金の問題を抱える介護福祉業界
当法人は、先代の理事長が福祉関連を学び、保育施設の運営を開始したところから始まった。ほどなくして介護施設の運営や介護サービスの取り扱いも始め、今では教育からグループホームと地域に根差した福祉の運営を主体に9つの事業を展開する規模となっている。
ここ数年、社会的な人手不足に加え、最近では海外の賃金が高くなっているため、人材も海外へ流出しているような状況も目立つ。その中でも、治安等の観点で日本を選ぶ人材もいるが、それでも慢性的な人手不足には変わりない。特に、介護福祉の場合は国からサービス単価が定められていたり、1施設あたりの定員や介護職員や看護職員の配置基準等も定められているため、大幅な賃上げも難しく人材募集等には苦慮しているという。

介護福祉事業では、日々の介護記録の作成が法令で定められており、利用者の規模が大きくなればなるほど、この部分の事務負担はどうしても増加する。そのうえ、紙での記録となれば、その書類の保管場所などの課題も出てきてしまう。
当法人の従業員はパート・アルバイトを含め約150名、利用者としては介護付き有料老人ホームやデイサービス等の利用者を全て含めると200名前後にもなるという。
前述のとおり、利用者や従業員の増加に伴い、発生する手続きや事務作業、書類の管理等も増えてしまう。理想としてはサービスの利用者や入居者の方に対して時間を割くべきだが、従業員が事務作業で疲弊してしまうのは本来の目的から外れてしまう、以前から紙ベースでの記録管理に多くの時間を取られていたため、まずはそこからIT化することが喫緊の課題だった。IT化にあたっては、もともと介護福祉事業で取引のあったシステム関連会社から有用なITソフトの情報を収集し、介護福祉関連で実績のあるソフトウェアの導入を決めた。当該事業者がIT導入補助金のIT導入支援事業者として登録されていたこともあり、補助金の説明を受け、補助金の申請にもチャレンジすることとなった。
補助金の存在は、設備導入の強い後押しになり、導入のハードルが下がるとともに負担軽減された分で別の設備投資等を検討することができるという。
IT化により感じる現場でのメリット

IT化がもたらす経営への影響と展望
活用した補助金:IT導入補助金 |
年度:2022年度 |
枠・型:B類型 |
企業データ
- 企業名
- 社会福祉法人熊本菊寿会
- 設立
- 2000年
- 従業員数
- 100名
- 代表者
- 理事長 山田 真裕 氏
- 所在地
- 熊本県熊本市北区弓削4丁目8番1号