2025.10.22
- 宿泊業,飲食サービス業
- 持続化補助金
支援機関とともに生産性向上に取り組む企業事例(CABA Coffee Beans)
移住者が始めた自家焙煎珈琲のカフェ~地域密着から地域貢献へ

この記事のポイント
- 自家焙煎珈琲のブランディングへの挑戦
- 補助金活用でカフェの開業と珈琲豆販売強化を模索
- 移住者の地域コミュニティ形成の秘訣と今後の展開
自家焙煎の珈琲豆を販売するため、東京から神奈川県三浦市に移住し、豆の魅力を味わってもらえるカフェを開業。
お客様の好みに合わせて自家焙煎した豆を使って、ハンドドリップで淹れたコーヒーを提供してきたが、メニュー展開の拡大を目的に補助金を活用してエスプレッソマシンを導入。顧客層の拡大と珈琲豆販売の強化に取り組んだ。
現在では、地域に密着したカフェとしての役割を果たしている事例を紹介する。
お客様の好みに合わせて自家焙煎した豆を使って、ハンドドリップで淹れたコーヒーを提供してきたが、メニュー展開の拡大を目的に補助金を活用してエスプレッソマシンを導入。顧客層の拡大と珈琲豆販売の強化に取り組んだ。
現在では、地域に密着したカフェとしての役割を果たしている事例を紹介する。
海と珈琲に包まれて 三崎で叶えたカフェの夢
「CABA Coffee Beans」は、2023年に神奈川県三浦市三崎で開業した「自家焙煎珈琲」が味わえるコーヒー専門のカフェ。店舗は源氏ゆかりの海南神社参道沿いにある「蔵」を改装した趣のある外観。店内は蔵づくり特有の太い梁があり、店主である若林氏のご主人による手作りのテーブルやランプが各所に配置されていて、カフェのコンセプトである「居心地のいい空間で非日常を感じて欲しい」を体現できる空間づくりがされている。
若林氏は、東京の有名なアクセサリーブランド店で販売員の仕事に19年間従事していた接客のプロである。若林氏は常々「いつか自分で焙煎した珈琲豆を販売していきたい」との思いを抱きながら、仕事の傍ら、バリスタが主催するスクールやカフェ等で、珈琲豆の焙煎、淹れ方、エスプレッソの抽出やラテアートのスキルを磨いてきた。
「人生の後半は海の近くで暮らすのが夢でした。三崎は夫と私の実家からも近く、目の前には海が広がっている小さな町で、人と人の距離が近く、地域一丸となって町を盛り上げようとしている。私の希望に叶っている町でした」と若林氏は嬉しそうに話していた。

②蔵づくり特有の太い梁、三浦大根をイメージしたご主人手作りランプ
③店のイメージキャラクターのカバたちがお迎え
移住者の挑戦~カフェ店舗立ち上げ前の試行錯誤と課題
三崎に移住した当初は、自家焙煎珈琲豆の販売で創業するつもりであった。実現する可能性を探るため、半年ほどキッチンカーやシェアキッチンでの営業、イベント出店や時には老人ホームで提供するなど試す中で、自家焙煎珈琲豆を販売していくには、実際に飲んでいただき美味しいと思う豆、淹れ方、飲み方をコーディネートすることが必要だと実感した。
「20年近く接客業を経験していたので、コミュニケーションには自信がありました。半年ほど様々な形態でコーヒーを提供するうちに、町の雰囲気やニーズも把握でき、自家焙煎豆をどう販売に繋げていくかも見えてきました」と話してくれた。
しかし、実店舗のカフェを一人で営業するには、ハンドドリップだけではオペレーションの負担が大きく時間もかかる。また、提供できるメニューも限られてしまい、収益化にも限界があると感じていた。
そこで着目したのが、東京で抽出方法を学んでいたエスプレッソ。
当時、三崎には本格的なエスプレッソを味わえるカフェがなく、コーヒーを好みに合わせアレンジして味わっていただけると考えた。エスプレッソの抽出には専用の機器が必要となるが、エスプレッソマシンは高額であり、創業して間もない中、資金的なハードルが大きく存在した。
そこで着目したのが、東京で抽出方法を学んでいたエスプレッソ。
当時、三崎には本格的なエスプレッソを味わえるカフェがなく、コーヒーを好みに合わせアレンジして味わっていただけると考えた。エスプレッソの抽出には専用の機器が必要となるが、エスプレッソマシンは高額であり、創業して間もない中、資金的なハードルが大きく存在した。
創業セミナーがきっかけとなった補助金への挑戦
若林氏には、エスプレッソマシンを導入して、メニューの幅を広げ、来店客の満足度を高め、さらに珈琲豆の販売促進にも繋げたいという明確なビジョンがあった。加えて、地域の高齢者や観光客に対応するためには一人で行うオペレーションの効率化も実現したいと考えていた。
そのビジョンを具現化するため、まずは市の創業認定を受けようと他事業で創業を考えていたご主人と創業セミナーに参加。そこで三浦商工会議所の山﨑経営指導員と出会い、創業セミナーの課題や記帳のサポート、適切な補助金の活用方法等について支援を受けた。
山﨑経営指導員は「若林さんは、やりたいことやビジョンが明確で、それに向けて今不足していることは何かを理解しています。補助金を申請する時も、計画書の構想はご自身でよく考えていました。下書きを見たときは、事業計画がしっかりされていて驚きましたね」と話してくれた。申請にあたっては、若林氏が作成した事業計画書の市場データの引用整理や資料作成の補助などの支援も行った。
若林氏は、「山﨑さんのサポートがなければ、補助金の申請もカフェの営業も順調にいかなかったと思います。創業して不安な時に、地元の方やイベントなども紹介いただき、手厚いサポートに本当に感謝しています。今でもなにかあればすぐに山﨑さんにお話しするんですよ」と、相談者と支援者の信頼関係が伺えた。
補助金は無事採択され、念願であったエスプレッソマシンの導入が実現。CABA Coffee Beansは本格的コーヒー専門カフェとして新たにスタートを切った。
若林氏は、「山﨑さんのサポートがなければ、補助金の申請もカフェの営業も順調にいかなかったと思います。創業して不安な時に、地元の方やイベントなども紹介いただき、手厚いサポートに本当に感謝しています。今でもなにかあればすぐに山﨑さんにお話しするんですよ」と、相談者と支援者の信頼関係が伺えた。
補助金は無事採択され、念願であったエスプレッソマシンの導入が実現。CABA Coffee Beansは本格的コーヒー専門カフェとして新たにスタートを切った。
接客のプロが行動力を生かし地域コミュティを形成~
共に広がる未来構想
エスプレッソマシンの導入によりオペレーションの向上が図られ、お客さんの好みの飲み方に合わせて様々なメニューの提供することが可能となった。また、自分好みに焙煎された珈琲豆を買いにくる常連のお客さんも増えてきた。
自家焙煎珈琲豆の販売に関しては、持ち前の行動力で、京浜急行三崎口駅前の土産店や三崎町内にある「うらりマルシェ」でも販売している。最近では京浜急行の「みさきまぐろきっぷ※1」の土産品として今年の秋に申請する予定で、「CABA珈琲」のブランディングが着々と進んでいる。
※1 京浜急行電車バス乗車券+食事+体験・土産がセットになったお得なきっぷ
同店は既に地域コミュニティの中心的存在となってきている。仕事の合間や帰りに立ち寄る人々、地域の高齢者の方が訪れては、若林氏との会話を楽しみにしている様子が伺えた。「今日はこんなことがあってね。こんな感じのコーヒーが飲みたいね」など、その時々の気分に合わせたコーヒーを楽しんでいた。「スイカ貰ったから食べて!お魚買ったけど私一人だと多いから食べる?」移住して間もないとは思えないほどである。また、地元農家からの規格外野菜や果物が届きそれらを活用したメニュー展開をして三崎の魅力を広く発信している。
山﨑経営指導員も「こんなに短時間で地域の方々との関係を築いて、彼女の人柄、行動力にはいつも驚かされています。彼女からの提案は参考になることが多くあります」と話していた。
今後は、高齢者世帯への珈琲豆の配達サービスを考えている。三崎は高齢化が進んでいて独居の方も多くいる。今の高齢者は、若い頃喫茶店でコーヒーを楽しんでいた世代でコーヒー好きが多い。若林氏は、配達サービスを通じて安否確認を兼ねた地域貢献型事業に発展させたい考えであるが、一人では実現しえない。三崎ではUber Eats等の宅配インフラが整っていないため、将来的には地元商店や飲食店等が協力し、地元密着型の配達モデルを作りたいと思っている。
また、インバウンド需要を見据えた対応も強化していきたい。欧州系の方が好む“濃厚なエスプレッソ”に対応できるよう、専用グラインダーを導入して豆のラインアップ拡充にも力を入れてみたいと話してくれた。
補助金を活用してエスプレッソマシンを導入したことにより、そこには地域のコミュニティが形成され、地域課題の解決のヒントや新しい価値の創造に繋がっていた。「CABA Coffee Beans」の取り組みは、移住してその地で商売をしていこうと考えている方々にとって、多くのヒントとなるものでもあり、これからの展開が楽しみである。
| 活用した補助金:小規模事業者持続化補助金 |
| 年度:2023年度 |
| 枠・型:一般型<創業枠> |
※本ページに掲載している補助金活用事例は過去の補助制度によるものであり、現在の補助制度とは異なる場合があります。
最新の補助要件については、必ず公式情報をご確認ください。
企業データ
- 設立
- 2023年5月
- 従業員数
- 0人
- 代表者
- 若林 亜希 氏
- 所在地
- 神奈川県三浦市三崎3丁目2番24号
支援機関データ
- 支援機関名
- 三浦商工会議所
- 所在地
- 神奈川県三浦市三崎3丁目12番19号







