マンガでわかる「補助金入門②【事業計画編】」

補助金を申請には「事業計画書」の提出が必要ですが、計画書づくりに苦手意識をもつ中小企業や個人事業者も少なくありません。でも、事業のイメージは頭の中にあるはず。それを言葉にして整理することで、目標や進め方が明確になります。実際に「補助金の申請をきっかけに事業計画書を作成したことで、経営姿勢が変わった」という声も多く聞きます。
補助金入門【事業計画編】では、補助金申請に欠かせない事業計画書について分かりやすく説明します。
※補助金には様々な種類がありますが、ここでは「中小企業庁所管」の補助金について説明しています。


事業計画書とはどのようなものか
補助金申請のための事業計画書といっても、特別なものではありません。一般的な経営計画と同じように、次の流れで作成していきます。
- 現状把握(経営環境、自社の強みや弱みの整理)
- 方針・戦略・コンセプトの明確化
- 目標の設定
- 具体的なアクションプラン(取り組み)の策定
これまでしっかりとした事業計画を作ったことがない事業者もいるかもしれません。その場合、頭の中を整理する方法として「SWOT分析」や「経営デザインシート」などのツールを活用すると良いかもしれません。これらのツールは、「どのように課題を整理すべきか」、「どのように戦略を考えるべきか」といった視点を提供してくれるため、納得感のある事業計画書の作成に役立ちます。
補助金をきっかけに、一貫性・具体性・実現性のある事業計画を策定し、さらにPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を意識した経営を実践できれば、補助金以上に経営の力となるはずです。
補助金の事業計画に求められること
補助金の事業計画は、一般的な経営計画と本質的には同じです。ただし、補助金には「審査」があるため、第三者の視点を意識して書くことが重要になります。審査の視点は、公募要領に掲載されていますので、必ず確認しましょう。
補助金の目的によって、事業計画に求められる審査項目(例:新規性、波及効果、雇用への影響など)や、必要とされる情報の量は異なりますが、どの補助金にも共通して求められるのは「実現性」です。
審査員は次のような点をチェックします。
- 売上や利益の目標が、事業者の希望的な「期待値」ではなく、市場データや調査結果に基づいた根拠ある「予測値」になっているか。
- 「絵に描いた餅」ではなく、自社の強みを活かした、現実的で実現可能な計画になっているか。
審査を受けることを前提に、第三者が納得できる根拠、実現性の高さを事業計画の中で、しっかり示すことが求められます。
 
経営相談を通じて、事業計画書をブラッシュアップ
商工会議所・商工会、信用金庫・銀行などの支援機関では、事業計画書作成のアドバイスを行っています。
補助金の事業計画書では、「実現性」が重視されます。地元の商工会議所・商工会や取引先の金融機関などの第三者の視点からアドバイスを受けることで、より説得力のある計画書にブラッシュアップすることができます。
相談はアイデア段階でも大丈夫です。完成した計画書を持ち込む必要はありません。「こんなことをやってみたい」という構想段階から、専門家と話し合うことで少しずつ具体化し、やるべきことが形になっていきます。大切なのは、新しいことに一歩踏み出すことです。
国は、中小企業や小規模事業者の課題解決をサポートするために、一定の知識や実務経験を持つ機関を認定経営革新等支援機関(認定支援機関)として認定しています。この認定支援機関には、商工会議所・商工会、金融機関(信用金庫・銀行など)、経営の専門家が含まれています。
なお、事業計画書の作成等について、一部のコンサル業者などによるトラブルも報告されています。不当に高額なアドバイス料を請求されるケース、申請支援だけで多額の報酬を取り、事業実施中や実施後のフォローが十分でないケースもありますので、ご注意ください。
 
事業計画書は、経営者自らが責任を持って作成
事業計画書は、経営者(事業者)自らが責任を持って作成するものです。支援機関や専門家は、そのプロセスをサポートする立場であり、代わりに作る存在ではありません。
事業計画書を作ることは、自社を見つめ直す絶好の機会です。経営を取り巻く環境、自社の理想像(あるべき姿)、現在の課題、課題解決のための具体的な取り組み…これらを経営者自身が考え抜き、納得のいく計画を策定してください。
他人任せで事業計画書を作っても、意味はありません。経営者が「腹落ちしない」計画では、実行力を欠いてしまいます。また、資金調達にあたって、自分の言葉で事業計画を説明できれば、金融機関の理解を得やすいと思います。
経営者自身が主体的に事業計画を策定するからこそ、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回すことできます。また、経営環境の変化に合わせて計画を見直すこともできます。
事業計画書は、ビジネス必須アイテムであり、経営課題の解決、事業の持続的な成長に欠かせないものです。


