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マンガでわかる「賃上げ支援制度」

物価の高騰が続く現在、日本経済にとって「賃上げ」は最優先で取り組むべき重要課題の一つとなっています。
2025年6月に閣議決定された「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」では、2029年度までに実質賃金を年1%以上引き上げることを目標に、国内雇用の約7割を占める中小企業・小規模事業者が賃上げできる環境の整備を進めていく方針が示されました。
2025年6月に閣議決定された「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」では、2029年度までに実質賃金を年1%以上引き上げることを目標に、国内雇用の約7割を占める中小企業・小規模事業者が賃上げできる環境の整備を進めていく方針が示されました。
今回は、補助金をはじめとして、税制、融資、価格転嫁など、政府の賃上げ支援のための施策について分かりやすく説明します。


補助金の「特別枠」「加点措置」等で、賃上げに取り組む事業者を優遇
「賃上げ」が日本経済の重要課題となるなかで、賃上げの原資となる「稼ぐ力=生産性」を高めるための重要な政策ツールとしての補助金の役割が重視されるようになってきました。
たとえば、「ものづくり補助金」「新事業進出補助金」「中小企業省力化投資補助金(一般型)」等では、申請時に満たさなければならない条件「基本要件」のなかに、「事業所内最低賃金が地域別最低賃金より、+〇円以上であること」という賃上げ要件が設けられています。これは、補助金による支援が賃上げにつながるようにするためです。
さらに補助金によっては、賃上げに積極的な事業者に対して補助金の上限額を引上げる「特別枠」の設置や、賃上げに取り組む事業者に審査で有利になる「加点措置」や「補助率の引上げ」等の制度も設けられています。
また、かつては補助金の事業によって一定以上の収益が発生した場合、その一部を国へ返納する「収益納付」という制度が一般的でしたが、近年の補助金の多くでは廃止されています。これは、補助金による事業効果、生産性・収益力の向上を積極的な賃上げにつなげてもらう狙いもあります。
なお、賃上げ目標を達成できなかった場合には、補助金の返還が求められますので注意してください。
このように、近年の補助金は「生産性向上→収益力向上→賃上げ」という好循環を後押しするような制度設計が進められています。
※補助金の要件・加点等については、実施年度や公募回によって変更となる場合があります。必ず最新の公募要領等を確認してください。
補助金・税制・融資などの施策を総動員し、賃上げを促進
中小企業・小規模事業者にとって、賃上げは大きな負担となっています。「賃金を上げたいが、原資が確保できない」という悩みを抱える経営者も少なくありません。
こうした状況に対応するため、政府は、補助金・税制優遇・低利融資などを様々な施策を総動員した支援策を用意し、賃上げに取り組む事業者を力強く後押ししています。
たとえば、賃上げの原資につながる生産性向上のため補助金・助成金としては、設備投資や高付加価値化を支援する「ものづくり補助金」、新事業・新分野進出支援する「新事業進出補助金」、省力化機器の導入を支援する「中小企業省力化投資補助金」、デジタル化や業務改善を後押しする「デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)」、最低賃金を引き上げつつ生産性向上に取り組む企業を支援する「業務改善助成金(厚生労働省)」などがあります。
税制面では、賃金を一定以上引き上げた中小企業等が税額控除を受けられる「中小企業向け賃上げ促進税制」が拡充されました。
さらに融資制度として、賃上げに取り組む企業向けに設定された低利融資「企業活力強化貸付(日本政策金融公庫)」や融資後2年間の利率が0.5%引き下げられる「賃上げ貸付利率特例制度(日本政策金融公庫)」などのメニューが用意されています。これらの制度を活用すれば、賃上げとあわせて行う設備投資や業務改善に取り組みやすくなります。
また、賃上げには働く人のスキル向上や職場環境の改善も欠かせません。非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に対する「キャリアアップ助成金(厚生労働省)」をはじめ、人材育成や働きやすい職場づくりを支援する制度も充実しています。
中小企業庁や厚生労働省では、こうした賃上げのための支援制度をまとめた特設サイトを開設しています。最新の支援制度や活用事例が分かりやすく紹介されていますので、ぜひ一度ご確認ください。
賃上げ実現のために、中小企業等の「価格転嫁」を支援
賃上げを持続的に実現するためには、労務費(人件費)や原材料費の上昇分を適切に価格に反映する「価格転嫁」が欠かせません。
しかし、中小企業・小規模事業者は価格決定権が弱い立場に置かれやすく、なかなか価格交渉に応じてもらえないという問題がありました。
しかし、中小企業・小規模事業者は価格決定権が弱い立場に置かれやすく、なかなか価格交渉に応じてもらえないという問題がありました。
こうした状況を改善するため、2026年1月1日から、従来の「下請法」が「中小受託取引適正化法(取適法)」に改正・施行され、発注者(親事業者)は受注者(下請事業者)の価格協議に応じることが義務化されます。
法制面の整備に加えて、中小企業庁では適切な取引環境づくりのために、「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の策定、望ましい取引関係の構築をめざした「パートナーシップ構築宣言」の普及推進等に取り組んでいます。これらの取組みは、企業間の力関係に左右されず、公正で透明性の高い取引環境づくりを目的としています。
さらに、現場での価格交渉の支援体制も強化されています。全国47都道府県の「よろず支援拠点」に「価格転嫁サポート窓口」を設置し、価格交渉の基本的な進め方や、原価計算・見積根拠の作成方法、交渉に必要な説明資料の作り方などについて、専門家から実務的なアドバイスを受けられる体制を整えています。
また、客観的なデータに基づいた説得力のある価格交渉を行うための各種支援ツールの整備も進め、中小企業・小規模事業者の価格転嫁をサポートしています。
賃上げは、日本経済を成長させるための重要な原動力であると同時に、企業にとっては人手不足が続くなかで人材を確保し、競争力を維持するために欠かせない取り組みです。ぜひとも、補助金をはじめ、賃上げ支援のための様々な制度を積極的に活用し、企業の持続的な成長につなげてください。

