マンガでわかる「補助金入門③【申請・交付・報告編】」

事業計画書を作成し、必要な書類を整えたら、いよいよ「申請」です。ただし、補助金は申請すれば必ず受けられるものではありません。審査を通過し「採択」された場合のみ、補助金の交付が決定されます。
事業を実施・完了した後に補助金が支払われ、さらに年1回の「事業化状況報告」も必要です。
このページでは、中小企業庁の補助金申請から交付、報告までの流れをわかりやすく解説します。
※補助金には様々な種類がありますが、ここでは「中小企業庁所管」の補助金について説明しています。


GビズIDアカウントを取得し、jGrantsで電子申請
補助金の「公募」に先立って公開されるのが「公募要領」です。これは補助金のルールブックのようなもので、補助対象となる事業と経費、補助率、応募条件などが詳しく記載されています。
なお、中小企業庁所管の補助金の多くは電子申請のみの受付となっており、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。アカウント取得には申請から2週間ほどかかる場合があるため、余裕をもって早めに準備しておきましょう。
また近年、事業計画書をWeb上のフォームから直接入力する方式の補助金が増えています。ただし、最初からフォームに直接入力するのが大変な人のため、「入力用にWord形式の様式」が用意されています。あらかじめWord形式で事業計画書を作成し、完成後にコピー&ペーストで申請システムに転記すると便利です。
また、事業計画書は印刷しておいて、支援機関や従業員等と共有できるようにしておくことをおすすめします。
複数の外部有識者が審査項目に基づいて審査
提出された事業計画書などの申請書類は、複数の外部有識者(専門家)によって「審査」されます。審査員は、公募要領に記載された審査項目や加点項目に基づき、「補助金の交付に値するかどうか」を採点します。審査の結果、予算枠の範囲内で、上位の案件が「採択」される仕組みです。条件を満たしていても、申請者全員が採択されるわけではありません。
補助金の審査は、原則として書面で行われます。第三者の審査員にも事業内容が理解できるように、専門用語には注釈を付ける など、分かりやすい表現を心がけてください。必要書類の不備があると、内容が優れた事業計画であっても不採択となるケースがあります。書類の確認は慎重に行いましょう。
一部の補助金では、書面審査に加えてオンライン面談等が導入されています。面談では、審査員が経営者(事業者)に直接ヒアリングを行い、事業内容の妥当性や実現可能性等について審査します。
補助事業のスタートは、「交付決定」がされてから
注意していただきたいのは、「採択=補助金の確定ではない」という点です。採択はあくまで「補助金交付の候補に選ばれた」状態にすぎません。
ほとんどの補助金では、採択後に改めて「交付申請書」を提出する必要があります。事務局が申請書を審査し、正式に「交付決定」が下されて初めて、補助事業を開始することができます。
この交付決定前に発注した経費は補助対象外となります。契約を締結しただけでも対象外になるため、十分ご注意ください。
交付申請の手続きが遅れると事業開始が後ろ倒しになり、事業期間を十分に確保できなくなる恐れがあります。見積書など必要書類は早めに準備し、速やかに提出してください。さらに、書類に不備があると交付決定が遅れる原因となりますので、正確かつ丁寧な書類作成を心がけてください。
補助金の交付(支払い)は、実績報告の後
補助事業が終了したら、領収書などの証拠書類とともに「実績報告書」を提出します。
実績報告書をもとに、事務局は事業が計画通りに実施されたか、補助対象経費が適切に処理されているかをチェックします。場合によっては、電話や現地訪問による確認を求めることもあります。
検査の結果、補助事業が適正に実施されており、支出内容が確認できた場合に補助金額が正式に確定し、事業者へ通知されます。これを受けて事業者が請求手続きを行い、補助金が振り込まれるという流れです。
補助金は後払い(清算払い)になります。事業にかかる経費は一度事業者が自己資金で立て替える必要がある点に注意してください。
補助金交付後の数年間は、状況報告の義務あり
補助金が交付された後も、事業者には年1回「事業化状況報告書」を事務局へ提出し、事業の実施状況を報告する義務があります。報告回数は補助金によって異なりますが、5年間(計5回)が一般的です。報告書のデータは、補助金の効果検証や、今後の支援施策の立案に活用されます。
補助金は原則として返済不要ですが、補助金で取得した設備を目的外に使用したり、取得した設備等を耐用年数期間内で廃棄したりすると、返還を求められることがあります。特に、最近の設備投資を伴う補助金では、予定していた賃上げの目標が未達の場合は、未達の割合に応じて返還を求められることがありますので、注意が必要です。
補助金を、経営変革の第一歩に
資金不足で諦めていた事業も、補助金を活用すれば実現の可能性が広がります。また、申請時に事業計画書を作成することで、頭の中のアイデアが整理され、取り組むべきことが明確になります。
補助金そのものが事業を成長させるわけではありません。補助金を活用し、事業計画書に基づいて、新たな取り組みを行い、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回していくことで、持続的な成長につながります。
実際に多くの経営者が、補助金の事業計画書の作成を通じて経営を見直すきっかけを得ています。ぜひ、補助金を経営を変革する第一歩として活用してください。

