マンガでわかる「一般事業主行動計画」

補助金の申請にあたって、仕事や子育ての両立支援を目的とした「一般事業主行動計画」の策定・公表等が補助金申請の「要件」として求められたり、補助金の審査の「加点項目」となったりするケースが増えてきました。
たとえば、2025年度のものづくり補助金や省力化投資補助金(一般型)、新事業進出補助金等では、従業員21名以上の事業者については、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」の作成・公表が、申請要件となっています。
今回は、この一般事業主行動計画の策定方法や公表手順について、分かりやすく解説します。
※各補助金の要件については、事業年度・公募回によって変更になる場合があります。
申請にあたっては、必ず最新の公募要領でご確認ください。
申請にあたっては、必ず最新の公募要領でご確認ください。


一般事業主行動計画には、2つの種類がある
一般事業主行動計画には、「次世代法(次世代育成支援対策推進法)」に基づくものと、「女性活躍推進法」に基づくものの2種類があります。このうち、2025年度のものづくり補助金や省力化投資補助金(一般型)、新事業進出補助金等の要件となっているのは、「次世代法に基づく行動計画」です。以下に、二つの法律の目的と行動計画の主な違いを整理します。
| 法律 | 主な目的 | 一般事業主行動計画の概要 |
|---|---|---|
| 次世代育成支援対策推進法 | 次世代の子どもが健やかに生まれ育つ環境を整備し、仕事と育児を両立できる雇用環境を企業が支援すること | 仕事と子育ての両立支援に関する雇用環境の整備 子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備 |
| 女性活躍推進法 | 女性が職業生活で希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備すること | 女性の活躍状況の把握と課題の分析 課題を踏まえた数値目標・取組内容の設定 女性活躍に関する自社の数値データの公表 |
次世代法が「仕事と育児の両立支援」に重点を置いているのに対して、女性活躍推進法は「女性の職業生活における活躍推進」に特化しているのが特徴です。
従業員101人以上の企業は、それぞれの法律に基づいた「一般事業主行動計画」の策定や公表が義務づけられています(100人以下の企業は努力義務)。2つの行動計画は重なる部分も多いので、一体的に(1つにまとめて)策定する企業も少なくありません。
今回は、該当事業者の補助金要件である「次世代法に基づく一般事業主行動計画」を中心に解説します。
次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定
次世代法に基づく行動計画では、法律の目的に基づいて、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備等について目標と具体的な計画を定めていきます。
計画策定にあたっては、自社の育児休業取得率や労働時間、仕事と子育ての両立の障害になっている事項、従業員のニーズ等を調査し、現状の課題を明確にします。
そして課題を解決するために
①計画期間
②目標(例:育児休業の取得率80%、所定外労働時間の月30時間未満 など)
③目標を達成するための対策(例:業務体制の見直し、残業ゼロデーの設定 など)
と、その実施時期を具体的に盛り込んだ計画を策定します。
①計画期間
②目標(例:育児休業の取得率80%、所定外労働時間の月30時間未満 など)
③目標を達成するための対策(例:業務体制の見直し、残業ゼロデーの設定 など)
と、その実施時期を具体的に盛り込んだ計画を策定します。
厚生労働省のホームページには、「モデル行動計画」が掲載されていますので、参考にしてください。
なお、計画期間の終了後に、「くるみん認定(後述)」の取得を希望する事業者は、その認定基準を踏まえた行動計画を策定する必要があります。
なお、計画期間の終了後に、「くるみん認定(後述)」の取得を希望する事業者は、その認定基準を踏まえた行動計画を策定する必要があります。
▼厚生労働省「一般事業主行動計画の策定・届出等について」
計画策定後、厚生労働省「両立支援のひろば」で公表
行動計画を策定したら、その計画を一般に公表するとともに、従業員への周知を図ります。
ものづくり補助金等では、厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」での公表が補助金の要件(従業員数21名以上)となっています(「両立支援のひろば」に掲載した自社の一般事業主行動計画のURLを電子申請システム上で入力)。また申請にあたっては、申請締切日時点で有効な一般事業主行動計画(申請締切日が行動計画の期間内である計画)であることが求められます。
なお、行動計画の公表申請から「両立支援のひろば」に掲載されるまで約2週間かかりますから、少なくとも申請締め切りの3週間前には策定・公表に向けた準備を行わなくてはなりません。補助金申請の要件となっている事業者は、余裕をもった計画の公表申請をお願いします。
そして行動計画を策定したら、事業所への掲示、従業員への配布、電子メールでの送付等により、従業員に行動計画を周知します。また、策定・公表した一般事業主行動計画は、管轄の都道府県労働局へ届け出るようにしましょう。
▼厚生労働省「両立支援のひろば」
補助金の加点等の優遇が受けられる「くるみん認定」
くるみんの認定基準を踏まえた行動計画を策定し、目標を達成するなどの一定の要件を満たした事業者は、計画期間終了後に、厚生労働大臣の認定を受けることできます。
認定基準については、①くるみん、②トライくるみん、③プラチナくるみん(特別認定)の順に厳しくなっています。
くるみん認定を受けた事業者は、それぞれの認定マークを商品、広告、求人広告などに付けることができ、子育てサポート企業としてPRすることができます。
くるみん認定は、ものづくり補助金等の補助金の加点項目になっており、認定を受けた事業者は補助金の審査で有利になります。
また、くるみん認定事業者には、官公庁の入札等での加点評価、税制や金利の優遇制度、助成金制度等も用意されています。
ぜひご活用ください。
また、くるみん認定事業者には、官公庁の入札等での加点評価、税制や金利の優遇制度、助成金制度等も用意されています。
ぜひご活用ください。
▼厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて」
「女性活躍推進法」に基づいた一般事業主行動計画とは
「女性活躍推進法」は、働く女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す法律です。
女性活躍推進法に基づいた一般事業主行動計画では、女性の活躍状況の把握と課題分析をしたうえで、女性の採用比率や管理職に占める女性の割合などの数値目標を定めます。また毎年、女性の活躍に関するデータを外部に公表します。
行動計画の実施状況や成果が特に優れている企業は、厚生労働大臣から「えるぼし認定」や「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。これらの認定を取得すると、企業イメージの向上だけでなく、ものづくり補助金等の補助金の加点対象になるなどのメリットがあります。
101名以上の企業には策定が義務づけられています。100名以下の事業者も、次世代法に基づく行動計画とあわせて、ぜひ策定に挑戦してください。
▼厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」

